初めて海峡を渡ったメッセージ展
オブジェは、いつもボランティア実費で協力して下さる、吉田さん(陸王運送店/神奈川県座間市)のトラックに乗り、海峡を渡った。
札幌駅から徒歩10分の「かでる2・7」(道民活動センター)は、緑豊かな植物園に面した近代的な建物だが、その向こうにレトロな北海道庁が望める、旅情あふれるロケーション。
折しも、街路樹のライラックが可憐な花姿を見せる5月の薫風に、道外から来場した遺族らは、すがすがしいひと時を過ごした。
「in 北海道」実行委員会の母体になったのは、3年前から活動している北海道交通事故被害者の会で、北海道内での初開催を機に、地元から新たに「5命」のオブジェが加わり、参加は74家族77命に増えた。
会場に備えた来場者アンケートに、164人の方が感想を記入していただき、「胸のつまる思い」「心にずしんと響きました」などオブジェたちのメッセージがしっかり伝えられたことが確かめられた。
3日目の日曜日には、道内外9人の遺族が犠牲者に代わって訴えるオムニバス形式の講演会「理不尽に生命を奪われし者からのメッセージ」を実施。
約60人の参加者が熱心に耳を傾けてくれた。
地元北海道新聞は準備段階から、当日はもとより事後にも3日目の講演会を半ページで特集するなど多大な協力をいただき、朝日、毎日、読売の各紙も事前または当日に報道。
テレビではSTVが道内参加2遺族にスポットを当てた特集を放映し入場を呼びかけてくれた。
NHK、HBC、UHB、TVHの取材もあり、ニュース等で紹介され、報道でメッセージ展を知り、かけつけてくれた来場者も少なくない。
また関西TVは参加遺族を追った特集番組を制作。関西圏に3回にわたって放映された。
「北海道でカニ」をもくろんでいた参加家族は、地元の仲間の「今年はカニが不漁」という情報に、がっくり肩を落としたものの、海の幸、大地の恵みを囲み、本場の生ビールを片手に大いに親交を深めた。
最も遠くからの参加家族は、長崎県の五島列島。全国各地での会場に足を運ぶのは、経済的にも、時間的にもたやすいことではないが、旅先での仲間とのふれあいを楽しみにする家族は多い。
「息子と一緒に来た青函トンネル」「北海道に行ってみたいって言ってたの」という話も飛び交い、日常を離れた北の地の夜は、遅くまでおしゃべりの花が咲いた。
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